放射線治療専門技師試験|分野別過去問分析
【放射線治療専門技師】粒子線治療の過去問8年分を分析|頻出テーマと覚えるべき語句
陽子線・重粒子線の物理、生物、照射法、臨床適応を扱います。光子線との違いを軸に整理すると安定して得点できます。
この記事では、H29・H30・R2・R3・R4・R5・R6・R7の40問を横断し、問題文を転載せずに主題と公開選択肢を独自分類しました。年度別の出題、頻出テーマ、具体的な問題例、最後に覚えるべき語句の順で整理します。
集計対象:40問(5問×8年)、公開選択肢167件。
まず分かったこと
- 最多主題は「ビーム形成・スキャニング」で13問、選択肢では46件登場しました。
- 次いで「飛程・阻止能比・CT変換」が8問です。主題だけでなく選択肢でも繰り返されています。
- Braggピーク、飛程、RBEなど、物理と生物を横断して問う。
- 物理原理と制度上の適応は分けます。保険適用は出題年と現在で変わるため、制度情報を暗記表の固定値にせず確認日を付けます。
8年分の出題内容

8年間を主題別に並べると、中心は「ビーム形成・スキャニング」です。同じ分野でも年度によって、定義・数値・計算・測定方法・正誤・組合せへ聞き方が変わります。
年度別5問一覧
| 年度 | 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
|---|---|---|---|---|---|
| H29 | 粒子線加速器、照射法およびBNCT線量計算原理 | 陽子線の飛程、SOBPおよびパッシブ照射法 | 陽子線RBE、飛程計算、炭素イオン線の特徴 | 陽子線施設、エネルギー・飛程調整、制度経緯 | 中性子捕捉療法 |
| H30 | 現在・陽子線治療の適応として | 粒子加速器、パッシブ・スキャニング照射、照射野… | に相当する放射線の種類につ・量線対相・深さ | 粒子線の特徴として | 粒子線の飛程・強度、ワブラー法、リップルフィル… |
| R2 | 粒子線治療の保険適用 | 粒子線の特徴として | 粒子線の計測 | 粒子線パッシブ法 | 粒子線治療装置 |
| R3 | 陽子線治療 | 炭素イオン線の特徴 | 拡大ビーム法 | 粒子線の計算アルゴリズム・照射系・加速器 | シンクロトロン |
| R4 | 炭素イオン線の特徴 | 陽子線のパッシブ法・スキャニング法と運動管理 | 陽子線の水吸収線量計測 | 陽子線の照射野形成法 | 陽子線の特徴 |
| R5 | 陽子線治療 | 重粒子線治療 | 粒子線治療の照射野形成法 | 粒子線治療の臨床適用 | 粒子線治療計画 |
| R6 | 粒子線の媒質中での相互作用 | 陽子線・炭素線の加速器、ブラッグピーク、阻止能… | 陽子線の照射野形成装置 | 拡大照射法 | 重粒子線の特徴 |
| R7 | 陽子線の線質指標測定 | 陽子線の物理特性 | 重粒子線治療の保険適用 | 高LET放射線の生物効果 | 粒子線スキャニング照射 |
各セルは問題文の転載ではなく、その問題で中心になった知識を短く言い換えています。
頻出テーマランキング

| 順位 | テーマ | 主題 | 選択肢 | 出題年度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ビーム形成・スキャニング | 13問 | 46件 | H29・H30・R2・R3・R4・R5・R6・R7 |
| 2 | 飛程・阻止能比・CT変換 | 8問 | 39件 | H29・R4・R5・R6・R7 |
| 3 | 装置・QA・安全 | 6問 | 20件 | H30・R2・R3・R5・R6 |
| 4 | 臨床適応・治療計画 | 5問 | 25件 | H30・R2・R3・R5・R7 |
| 5 | LET・RBE・生物効果 | 5問 | 18件 | H30・R3・R4・R6・R7 |
| 6 | Braggピーク・物理特性 | 3問 | 19件 | H30・R2・R4 |
主題数と選択肢登場数を分けると、他テーマの誤答候補として繰り返される知識も見つかります。
繰り返し問われている内容
1.ビーム形成・スキャニング
主題は13問、選択肢では46件。主題となった年度はH29・H30・R2・R3・R4・R5・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:照射野とSOBPを作る機構、スキャニング法の特徴を問う。
- 復習の軸:パッシブ法とスキャニング法の構成部品、長所、注意点を比較する。
- 問題文に直すと:「パッシブとスキャニングについて、散乱体・リッジフィルタ・補償体と、走査磁石・エネルギー層の違いを比較する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
2.飛程・阻止能比・CT変換
主題は8問、選択肢では39件。主題となった年度はH29・R4・R5・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:CT情報から飛程を決める過程と、不確かさを問う。
- 復習の軸:CT値、相対阻止能、水等価厚、飛程マージンの関係を整理する。
- 問題文に直すと:「飛程・RSPについて、CT値からRSP、水等価厚、飛程を求める流れと、変換・セットアップ・解剖変化の不確かさを整理する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
3.装置・QA・安全
主題は6問、選択肢では20件。主題となった年度はH30・R2・R3・R5・R6です。
- 主な聞かれ方:加速器、搬送系、照射室、品質管理の特徴を問う。
- 復習の軸:粒子生成から照射までの装置構成と、主な誤差要因を順に追う。
- 問題文に直すと:「加速器・搬送・安全について、サイクロトロン/シンクロトロン、エネルギー・位置・飛程QA、二次放射線を流れで整理する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
4.臨床適応・治療計画
主題は5問、選択肢では25件。主題となった年度はH30・R2・R3・R5・R7です。
- 主な聞かれ方:疾患別適応、線量分割、計画上の注意点を問う。
- 復習の軸:制度上の適応は更新日を確認し、物理的適応とは分けて扱う。
- 問題文に直すと:「適応と計画について、物理的な線量集中性と制度上の適応・保険を分け、制度は出題年と現在を区別する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
5.LET・RBE・生物効果
主題は5問、選択肢では18件。主題となった年度はH30・R3・R4・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:粒子種や深さによるLET、RBEの変化を判断させる。
- 復習の軸:陽子線と炭素線を、LET、RBE、分割効果、酸素効果で比較する。
- 問題文に直すと:「LET・RBEについて、陽子線と炭素線を比較し、RBEは粒子種、深さ、線量、生物学的終点で変わると理解する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
6.Braggピーク・物理特性
主題は3問、選択肢では19件。主題となった年度はH30・R2・R4です。
- 主な聞かれ方:光子線と異なる深部線量分布、飛程末端の特徴を問う。
- 復習の軸:入射部、Braggピーク、遠位端、SOBPを1本の深部線量曲線で説明する。
- 問題文に直すと:「BraggピークとSOBPについて、入射部、ピーク、遠位端、複数ピークを重ねたSOBPを深部線量曲線で説明する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
具体的な問題例(過去問の丸写しではないオリジナル)
以下は実際の選択肢が狙う知識を土台に、主語・数値・条件・正誤を入れ替えて新規作成した例題です。過去問の文面は転載していません。
例題1|照射野形成
陽子線のパッシブ照射法と機器の組合せで正しいのはどれか。
- A. リッジフィルタ―SOBP形成
- B. 患者コリメータ―深さ方向の飛程変調
- C. レンジコンペンセータ―横方向照射野だけを形成
- D. スキャニング磁石―散乱体で一様化したビームを固定
正答:A
解説:リッジフィルタ等で異なる飛程成分を重ねてSOBPを形成する。コリメータは横方向、コンペンセータは遠位形状を調整する。
注意点:横方向形成と深さ方向形成の装置を入れ替えない。
例題2|陽子線基準計測
陽子線の線質指標測定に関する記述で正しいのはどれか。
- A. 基準測定では水ファントムを用いる
- B. 水等価固体ファントムで常に代用できる
- C. 円筒形電離箱の基準点は先端である
- D. 照射野条件は任意でよい
正答:A
解説:線質指標や基準線量測定は規定された水中条件で行う。円筒形電離箱では空洞の幾何学中心を測定の基準位置として扱う。
注意点:相対測定で使える材料と基準測定の水ファントム条件を混同しない。
例題3|陽子線と炭素線
陽子線と炭素線の比較で正しいのはどれか。
- A. 炭素線のRBEはすべての深さで一定である
- B. 陽子線のブラッグピークは一般に炭素線より幅が広い
- C. 粒子速度が低下するとLETは必ず低下する
- D. 同一条件で炭素線の核破砕は起こらない
正答:B
解説:陽子線の単一ブラッグピークは炭素線より幅広い傾向がある。炭素線では深さによりRBEが変化し、核破砕生成物も生じる。
注意点:物理線量分布と生物学的効果を同じ性質として扱わない。
例題4|飛程不確かさ
粒子線治療計画で飛程不確かさを増やす要因はどれか。
- A. CT値から阻止能比への変換誤差
- B. モニタ線量計の感度変化
- C. スキャニングスポットの出力変動
- D. 電位計校正定数のずれ
正答:A
解説:CT値―阻止能比変換の誤差は水等価厚を誤らせ、飛程位置へ直接影響する。ほかの選択肢は主に投与線量や出力の不確かさである。
注意点:線量不確かさと飛程不確かさを区別する。
選択肢で間違えやすいポイント
- 単一BraggピークとSOBPを同じものとする。
- CT値誤差を線量値の誤差だけで考え、飛程誤差を見落とす。
- パッシブ法とスキャニング法の構成部品を入れ替える。
- 粒子線の物理的適応と保険適用を同じものとする。
初学者向けの解き方
- 粒子種と物理特性を確認する。
- CT値からRSPと水等価厚を見積もり飛程を決める。
- 標的の厚みに合わせてSOBPやスキャン層を設計する。
- 動き、飛程不確かさ、QAを加えて臨床計画を評価する。
最後に覚えるべき語句
- Braggピーク:粒子が止まる直前で線量付与が大きくなり、その先の線量が急に低下する特性。
- SOBP:深さの異なるBraggピークを重ね、標的の厚みに合う高線量域を作ったもの。
- RSP:物質中の阻止能を水と比べた値。CTから飛程を予測する際に使う。
- スキャニング照射:細い粒子ビームを位置とエネルギーで走査して標的を塗るように照射する方法。
- BraggピークとSOBP:入射部、ピーク、遠位端、複数ピークを重ねたSOBPを深部線量曲線で説明する。
- 飛程・RSP:CT値からRSP、水等価厚、飛程を求める流れと、変換・セットアップ・解剖変化の不確かさを整理する。
- LET・RBE:陽子線と炭素線を比較し、RBEは粒子種、深さ、線量、生物学的終点で変わると理解する。
- パッシブとスキャニング:散乱体・リッジフィルタ・補償体と、走査磁石・エネルギー層の違いを比較する。
- 適応と計画:物理的な線量集中性と制度上の適応・保険を分け、制度は出題年と現在を区別する。
- 加速器・搬送・安全:サイクロトロン/シンクロトロン、エネルギー・位置・飛程QA、二次放射線を流れで整理する。
まとめ
粒子線治療は、単語だけでなく、定義・条件・数値・手順を対応させて説明できる状態にすることが重要です。まず「ビーム形成・スキャニング」と「飛程・阻止能比・CT変換」を優先し、年度別一覧と選択肢のひっかけを使って周辺知識を広げてください。
注意:物理原理と制度上の適応は分けます。保険適用は出題年と現在で変わるため、制度情報を暗記表の固定値にせず確認日を付けます。 外部基準の確認日は2026-09-16です。本記事は問題文・選択肢を転載せず、出題領域を独自に分類・要約しています。頻度は本記事の分類基準によるもので、出題予想ではありません。