放射線治療専門技師試験|分野別過去問分析
【放射線治療専門技師】放射線計測学(電子線)の過去問8年分を分析|頻出テーマと覚えるべき語句
電子線のエネルギー評価、基準線量測定、ビーム形成を扱う分野です。X線との条件差を明確にすることが基本になります。
この記事では、H29・H30・R2・R3・R4・R5・R6・R7の40問を横断し、問題文を転載せずに主題と公開選択肢を独自分類しました。年度別の出題、頻出テーマ、具体的な問題例、最後に覚えるべき語句の順で整理します。
集計対象:40問(5問×8年)、公開選択肢160件。
まず分かったこと
- 最多主題は「深部線量・エネルギー指標」で15問、選択肢では62件登場しました。
- 次いで「電離箱・擾乱補正」が14問です。主題だけでなく選択肢でも繰り返されています。
- R50、Rp、dmaxなど、深さとエネルギーの対応が繰り返される。
- 標準計測法12に基づく設問と、2024年のAAPM TG-51電子線addendumでは手順・係数の扱いに差があります。試験年と使用プロトコルを明示します。
8年分の出題内容

8年間を主題別に並べると、中心は「深部線量・エネルギー指標」です。同じ分野でも年度によって、定義・数値・計算・測定方法・正誤・組合せへ聞き方が変わります。
年度別5問一覧
| 年度 | 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
|---|---|---|---|---|---|
| H29 | 電子線の側方散乱平衡、広照射野、エネルギーと散… | PDI計測、電子線の出力校正、平行平板形・ファ… | CSDA飛程、実用飛程、外挿飛程、電子線の放射… | 回帰式とエネルギー指標を直接記載 | 有効な保護電極・深さに対して依存しないの |
| H30 | 電子線の水吸収線量計測・標準計測法 | 電子線計測における電離箱の基準点 | 標準不確かさ、合成標準不確かさ、拡張不確かさ、… | 高エネルギー電子線の線質指標・R50 | 平行平板形電離箱の相互校正、外部モニタ、基準深… |
| R2 | 標準計測法・のイオン再結合補正方法 | 電子線の線質評価 | 電子線エネルギーと阻止能比の関係 | 電子線の校正深における擾乱補正 | 電子線の相互校正法 |
| R3 | 側方電子平衡 | PDD・の測定 | 高エネルギー電子線 | 固体ファントムを用いた計測 | 相互校正 |
| R4 | 深部電離量百分率・PD | 深部線量半価深・R50 | 電子線の水吸収線量計測 | 電子線エネルギー損失 | 高エネルギー電子線 |
| R5 | PDI・の測定 | 標準計測法・に基づく水吸収線量計測 | 高エネルギー電子線 | 標準計測法・の固体ファントム | 標準計測法・のフィールド電離箱の相互校正 |
| R6 | 相互校正 | PDD | 側方電子平衡の影響を受けないの | ギャップ法を用いた実効・SSD・測定 | 非シールド型半導体検出器・評価不要な項目 |
| R7 | 計測(電子線) | 計測(電子線) | 計測(電子線) | 計測(電子線) | 計測(電子線) |
各セルは問題文の転載ではなく、その問題で中心になった知識を短く言い換えています。
頻出テーマランキング

| 順位 | テーマ | 主題 | 選択肢 | 出題年度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 深部線量・エネルギー指標 | 15問 | 62件 | H29・R2・R3・R4・R5・R6・R7 |
| 2 | 電離箱・擾乱補正 | 14問 | 52件 | H29・H30・R2・R3・R4・R5・R6 |
| 3 | 標準計測・水吸収線量 | 10問 | 33件 | H30・R3・R4・R5・R6・R7 |
| 4 | アプリケータ・照射野依存 | 1問 | 9件 | R6 |
| 5 | 電子線線量計算 | 0問 | 3件 | 選択肢のみ |
| 6 | 散乱体・ビーム形成 | 0問 | 1件 | 選択肢のみ |
主題数と選択肢登場数を分けると、他テーマの誤答候補として繰り返される知識も見つかります。
繰り返し問われている内容
1.深部線量・エネルギー指標
主題は15問、選択肢では62件。主題となった年度はH29・R2・R3・R4・R5・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:深部線量曲線からエネルギーや飛程を評価させる。
- 復習の軸:R50、Rp、dmaxの定義と近似式を同じ図に書く。
- 問題文に直すと:「R50・Rp・平均入射エネルギーについて、R50は線質指標。平均入射エネルギーは概ねE0=2.33R50で求め、Rpやdmaxと混同しない。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
2.電離箱・擾乱補正
主題は14問、選択肢では52件。主題となった年度はH29・H30・R2・R3・R4・R5・R6です。
- 主な聞かれ方:電離箱の選択と、電子線特有の擾乱や測定点を判断させる。
- 復習の軸:低エネルギー電子線で平行平板形を使う理由を説明できるようにする。
- 問題文に直すと:「平行平板形と円筒形について、浅部・低エネルギーで平行平板形を選ぶ理由と、相互校正・擾乱補正の条件を説明する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
3.標準計測・水吸収線量
主題は10問、選択肢では33件。主題となった年度はH30・R3・R4・R5・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:電子線の基準深、線質指標、吸収線量決定を問う。
- 復習の軸:X線との違いを、基準深、電離箱、補正係数で比較する。
- 問題文に直すと:「電子線の基準深について、標準計測法のzref=0.6R50-0.1 g/cm2と照射野条件を、版と適用範囲を付けて覚える。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
4.アプリケータ・照射野依存
主題は1問、選択肢では9件。主題となった年度はR6です。
- 主な聞かれ方:照射野形成器具と出力、深部線量の関係を問う。
- 復習の軸:アプリケータ、カットアウト、SSD変化が出力へ与える影響を整理する。
- 問題文に直すと:「アプリケータ・カットアウトについて、照射野サイズ、SSD、空気間隔が出力と深部線量へ与える影響を非標準条件として扱う。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
5.電子線線量計算
主題は0問、選択肢では3件。主題となった年度は主題としての該当なしです。
- 主な聞かれ方:不均質中の線量計算や、測定値から吸収線量への換算を問う。
- 復習の軸:計算モデルの前提と、電子線で誤差が大きくなる条件を確認する。
- 問題文に直すと:「PDIからPDDへの変換について、深部電離量と深部線量を区別し、阻止能比を用いる変換の前提を確認する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
6.散乱体・ビーム形成
主題は0問、選択肢では1件。主題となった年度は主題としての該当なしです。
- 主な聞かれ方:電子線ビームの広がりと、装置内の形成機構を問う。
- 復習の軸:加速器出口から患者までの構成要素を順に描く。
- 問題文に直すと:「側方散乱平衡について、電子エネルギー、照射野サイズ、深さによる側方散乱平衡の成立・不成立を理解する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
具体的な問題例(過去問の丸写しではないオリジナル)
以下は実際の選択肢が狙う知識を土台に、主語・数値・条件・正誤を入れ替えて新規作成した例題です。過去問の文面は転載していません。
例題1|電子線エネルギー
電子線エネルギーが高くなったとき、一般に小さくなるものはどれか。
- A. R50
- B. 実用飛程
- C. 制動放射線成分
- D. 表面から線量最大深までの立ち上がり勾配の角度
正答:D
解説:エネルギー上昇に伴いR50、飛程、制動放射線成分などは増える一方、表面からdmaxまでの立ち上がりの傾きは緩やかになる。
注意点:深さそのものと、深部線量曲線の角度を混同しない。
例題2|平行平板形電離箱の相互校正
高エネルギー電子線中で平行平板形電離箱を円筒形基準電離箱と相互校正する主な利点はどれか。
- A. 壁補正に由来する不確かさを小さくできる
- B. 水/空気阻止能比が不要になる
- C. 変位補正係数が常に0になる
- D. 電離箱の有効中心を測定しなくてよい
正答:A
解説:相互校正は平行平板形電離箱の壁補正に関する不確かさを低減する目的で行われる。
注意点:すべての補正係数が不要になるわけではない。
例題3|電子線基準計測
20 MeV電子線の基準吸収線量測定条件として正しいのはどれか。
- A. 線量最大深だけで測定する
- B. 固体ファントムを基準とする
- C. 基準照射野は10 cm×10 cmを用いる
- D. 電子線エネルギーに関係なく同じ深さで測る
正答:C
解説:電子線基準計測では水ファントムを用い、R50から求めた基準深で測定する。基準照射野は10 cm×10 cmである。
注意点:dmaxと基準深zrefを同じにしない。
例題4|実効SSD
ギャップ法による電子線の実効SSD測定で正しいのはどれか。
- A. 1つのギャップ距離だけで決定する
- B. 複数のギャップ距離で読み値の変化を求める
- C. すべての照射野で同一の実効SSDを用いる
- D. 吸収線量の絶対値だけから求める
正答:B
解説:複数のギャップで相対測定を行い、逆二乗則に相当する関係から実効SSDを推定する。
注意点:実効SSDはエネルギーやアプリケータ・照射野条件に依存する。
選択肢で間違えやすいポイント
- I50またはPDI上の50%深とR50を同一視する。
- R50、Rp、dmax、基準深の定義を入れ替える。
- X線用の測定点シフトを電子線へそのまま適用する。
- 平行平板形と円筒形の使用条件を逆にする。
初学者向けの解き方
- 深部線量曲線からR50を読む。
- R50から平均入射エネルギーや基準深を求める。
- エネルギーと深さに合う電離箱を選ぶ。
- アプリケータ、カットアウト、SSDの影響を別々に確認する。
最後に覚えるべき語句
- R50:吸収線量が最大値の50%になる深さ。電子線の線質指標として使う。
- Rp:深部線量曲線の下降部から評価する実用飛程。R50やdmaxとは定義が異なる。
- 基準深:電子線ではR50から決める測定深。公称エネルギーだけで固定しない。
- 平行平板形電離箱:浅い深さで測定点を定めやすく、低エネルギー電子線で重要な検出器。
- R50・Rp・平均入射エネルギー:R50は線質指標。平均入射エネルギーは概ねE0=2.33R50で求め、Rpやdmaxと混同しない。
- 電子線の基準深:標準計測法のzref=0.6R50-0.1 g/cm2と照射野条件を、版と適用範囲を付けて覚える。
- 平行平板形と円筒形:浅部・低エネルギーで平行平板形を選ぶ理由と、相互校正・擾乱補正の条件を説明する。
- アプリケータ・カットアウト:照射野サイズ、SSD、空気間隔が出力と深部線量へ与える影響を非標準条件として扱う。
- 側方散乱平衡:電子エネルギー、照射野サイズ、深さによる側方散乱平衡の成立・不成立を理解する。
- PDIからPDDへの変換:深部電離量と深部線量を区別し、阻止能比を用いる変換の前提を確認する。
まとめ
放射線計測学(電子線)は、単語だけでなく、定義・条件・数値・手順を対応させて説明できる状態にすることが重要です。まず「深部線量・エネルギー指標」と「電離箱・擾乱補正」を優先し、年度別一覧と選択肢のひっかけを使って周辺知識を広げてください。
注意:標準計測法12に基づく設問と、2024年のAAPM TG-51電子線addendumでは手順・係数の扱いに差があります。試験年と使用プロトコルを明示します。 外部基準の確認日は2026-09-16です。本記事は問題文・選択肢を転載せず、出題領域を独自に分類・要約しています。頻度は本記事の分類基準によるもので、出題予想ではありません。