放射線治療専門技師試験|分野別過去問分析
【放射線治療専門技師】放射線計測学(X線)の過去問8年分を分析|頻出テーマと覚えるべき語句
高エネルギーX線の基準線量測定と、深部線量・出力計算を扱う分野です。測定条件を取り違えないことが最重要です。
この記事では、H29・H30・R2・R3・R4・R5・R6・R7の40問を横断し、問題文を転載せずに主題と公開選択肢を独自分類しました。年度別の出題、頻出テーマ、具体的な問題例、最後に覚えるべき語句の順で整理します。
集計対象:40問(5問×8年)、公開選択肢163件。
まず分かったこと
- 最多主題は「深部線量・線量分布指標」で9問、選択肢では39件登場しました。
- 次いで「出力計算・MU・照射野係数」が7問です。主題だけでなく選択肢でも繰り返されています。
- 定義式、測定深、基準条件の一部を変えて判定させる。
- 8年分では標準計測法12を前提とする設問が中心です。現在の運用では標準計測法24、IAEA TRS-398 Rev.1、AAPM更新資料との版差を確認してください。
8年分の出題内容

8年間を主題別に並べると、中心は「深部線量・線量分布指標」です。同じ分野でも年度によって、定義・数値・計算・測定方法・正誤・組合せへ聞き方が変わります。
年度別5問一覧
| 年度 | 問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
|---|---|---|---|---|---|
| H29 | PDD・TMRの定義、逆二乗則、Sc・Spの区… | 主要論点を直接記載 | 電離箱の基準点を測定実効点とするの | くさびフィルタ | 電離箱の電気的補正、極性補正、温度・気圧による… |
| H30 | 等価正方形、不整形照射野、Clarkson法、… | 電離箱線量計 | 出力係数、ウェッジ係数、逆二乗則、線量率依存性 | 線計測における電離箱の基準点 | 医療用線量標準センター |
| R2 | 線のフィールド線量計の相互校正 | 線の計測 | 線における・PDD・の線量勾配 | 散乱係数 | PDD・の測定 |
| R3 | 散乱係数 | 小照射野の測定 | 線の相対線量評価 | TPR20,10・温度気圧補正・擾乱補正・モニ… | 円筒形電離箱 |
| R4 | 相対線量評価 | 荷電粒子平衡、過渡荷電粒子平衡、Bragg-G… | 全散乱係数、コリメータ散乱係数、ファントム散乱… | 電離箱線量計の特徴として | 小照射野の計測 |
| R5 | 散乱係数 | イオン再結合補正係数 | 標準計測法 | 小照射野の計測 | 物理的くさびフィルタ |
| R6 | 物理的くさびフィルタ | 標準計測法・における・TPR_ | 三次元水槽による・PDD・測定 | ミニファントムを使用する測定項目 | 光子線の相対線量評価 |
| R7 | 計測学(X線) | 計測学(X線) | 計測学(X線) | 計測学(X線) | 計測学(X線) |
各セルは問題文の転載ではなく、その問題で中心になった知識を短く言い換えています。
頻出テーマランキング

| 順位 | テーマ | 主題 | 選択肢 | 出題年度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 深部線量・線量分布指標 | 9問 | 39件 | H29・H30・R2・R3・R6・R7 |
| 2 | 出力計算・MU・照射野係数 | 7問 | 33件 | H29・H30・R2・R3・R4・R5・R6 |
| 3 | 補正係数・測定不確かさ | 7問 | 27件 | H29・H30・R2・R3・R4・R5・R7 |
| 4 | 電離箱・空洞理論 | 6問 | 29件 | H29・H30・R2・R4・R5・R7 |
| 5 | 小照射野・検出器選択 | 6問 | 19件 | R3・R4・R5・R6・R7 |
| 6 | 基準線量・標準計測法 | 5問 | 16件 | H30・R5・R6・R7 |
主題数と選択肢登場数を分けると、他テーマの誤答候補として繰り返される知識も見つかります。
繰り返し問われている内容
1.深部線量・線量分布指標
主題は9問、選択肢では39件。主題となった年度はH29・H30・R2・R3・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:深部線量指標の定義、依存因子、相互換算を問う。
- 復習の軸:各指標の分母、測定条件、SSDまたはSAD依存性を表にする。
- 問題文に直すと:「PDD・TMR・TPRについて、分子・分母、基準深、一定SSDかSADか、照射野定義をセットで区別する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
2.出力計算・MU・照射野係数
主題は7問、選択肢では33件。主題となった年度はH29・H30・R2・R3・R4・R5・R6です。
- 主な聞かれ方:MU計算や各種係数の定義、組合せを判断させる。
- 復習の軸:式の各係数を、測定条件と役割に分解して確認する。
- 問題文に直すと:「MU・散乱係数について、Sc、Sp、全散乱係数、深部線量、ウェッジ係数の測定条件と掛け合わせ方を整理する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
3.補正係数・測定不確かさ
主題は7問、選択肢では27件。主題となった年度はH29・H30・R2・R3・R4・R5・R7です。
- 主な聞かれ方:補正係数の物理的意味と、測定への影響を問う。
- 復習の軸:係数名、補正対象、測定方法、典型的な変化方向を1行ずつ整理する。
- 問題文に直すと:「kTP・kpol・ksについて、温度気圧、極性、イオン再結合が何を補正するか、どの測定条件を変えるかを覚える。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
4.電離箱・空洞理論
主題は6問、選択肢では29件。主題となった年度はH29・H30・R2・R4・R5・R7です。
- 主な聞かれ方:電離箱の構造と空洞理論、適切な使用条件を判定させる。
- 復習の軸:電離箱の形状、壁材、測定点、対象線質をセットで比較する。
- 問題文に直すと:「円筒形電離箱について、基準点、実効測定点、壁・中心電極・空洞の役割と適用条件を区別する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
5.小照射野・検出器選択
主題は6問、選択肢では19件。主題となった年度はR3・R4・R5・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:小照射野での検出器選択と測定上の注意点を問う。
- 復習の軸:高分解能だけでなく、エネルギー依存性と擾乱も比較する。
- 問題文に直すと:「小照射野について、体積平均、線量計の擾乱、線質依存、位置決め誤差を比較して検出器を選ぶ。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
6.基準線量・標準計測法
主題は5問、選択肢では16件。主題となった年度はH30・R5・R6・R7です。
- 主な聞かれ方:標準計測法の基準条件と、水吸収線量決定の流れを確認する。
- 復習の軸:線質決定、補正、吸収線量換算を手順で覚える。
- 問題文に直すと:「基準水吸収線量について、D_w,Q=M_Q N_D,w,Q0 k_Q,Q0を基本に、補正済み指示値M_Qの構成を説明する。。この考え方と一致する説明はどれか」という形に言い換えられます。
具体的な問題例(過去問の丸写しではないオリジナル)
以下は実際の選択肢が狙う知識を土台に、主語・数値・条件・正誤を入れ替えて新規作成した例題です。過去問の文面は転載していません。
例題1|PDD・TMR
X線深部線量指標に関する記述で正しいのはどれか。
- A. PDDはSSDを変えても変化しない
- B. PDDは一定SSD条件で深さによる線量比を求める
- C. TMRは一定SSDで測定する指標である
- D. PDDは照射野サイズの影響を受けない
正答:B
解説:PDDは一定SSD条件の百分率深部線量で、SSD、照射野、線質などに依存する。TMRは一定SAD条件で扱う。
注意点:PDDとTMRで一定にする幾何学条件を逆にしない。
例題2|散乱係数
X線の照射野係数と測定法の組合せで正しいのはどれか。
- A. Sc―水中で通常の水ファントムを用いて測定
- B. Sc―ミニファントムを用いてヘッド散乱を評価
- C. Sp―空中測定だけで直接決定
- D. Scp―Scとは無関係
正答:B
解説:コリメータ散乱係数Scはミニファントムなどを用いた空中条件で評価する。全散乱係数ScpはScとファントム散乱係数Spを含む。
注意点:Sc、Sp、Scpの測定場所と関係式を入れ替えない。
例題3|補正係数
電離箱測定の補正係数に関する記述で正しいのはどれか。
- A. イオン再結合補正係数ksは1未満となる
- B. 温度気圧補正は基準状態との空気密度差を補正する
- C. 極性効果補正は片極性の読みだけで決定する
- D. 線質変換係数kQは温度だけで決まる
正答:B
解説:kTPは空気密度の基準状態との差を補正する。ksは再結合損失を補うため通常1以上で、kpolは両極性の測定を用いる。
注意点:補正対象と係数名を一対一で覚える。
例題4|Bragg-Gray空洞理論
Bragg-Gray空洞理論の成立条件として正しいのはどれか。
- A. 空洞は二次電子の飛程より十分大きい
- B. 空洞が周囲の二次電子フルエンスを大きく変化させる
- C. 空洞内の電離は周囲から進入した荷電粒子によって生じる
- D. 入射光子は空洞内で積極的に相互作用する必要がある
正答:C
解説:小空洞が二次電子場を乱さず、空洞内の電離は周囲から入射する荷電粒子により生じることが基本条件である。
注意点:空洞の大きさと電子飛程の大小関係を逆にしない。
選択肢で間違えやすいポイント
- PDDとTMRの分母・幾何学条件を入れ替える。
- 電離箱の基準点と実効測定点を混同する。
- Sc、Sp、全散乱係数の測定場所を入れ替える。
- kpol、ks、温度気圧補正の目的を交換する。
初学者向けの解き方
- 測定対象が絶対線量、相対線量、プロファイルのどれかを決める。
- SSD、SAD、深さ、照射野、線質を確認する。
- 目的に合う検出器と測定点を選ぶ。
- 必要な補正を適用し、単位と不確かさを確認する。
最後に覚えるべき語句
- PDD:一定SSDで、基準深の線量に対する各深さの線量比を百分率で表す。
- TMR・TPR:同一幾何学条件で深さによる線量変化を比で表す指標。PDDと測定条件が異なる。
- 基準線量測定:水ファントム、基準深、基準照射野など決められた条件で吸収線量を求める。
- 小照射野:検出器サイズや荷電粒子平衡の不足が問題になり、通常照射野の測定をそのまま使えない。
- PDD・TMR・TPR:分子・分母、基準深、一定SSDかSADか、照射野定義をセットで区別する。
- 基準水吸収線量:D_w,Q=M_Q N_D,w,Q0 k_Q,Q0を基本に、補正済み指示値M_Qの構成を説明する。
- 円筒形電離箱:基準点、実効測定点、壁・中心電極・空洞の役割と適用条件を区別する。
- kTP・kpol・ks:温度気圧、極性、イオン再結合が何を補正するか、どの測定条件を変えるかを覚える。
- MU・散乱係数:Sc、Sp、全散乱係数、深部線量、ウェッジ係数の測定条件と掛け合わせ方を整理する。
まとめ
放射線計測学(X線)は、単語だけでなく、定義・条件・数値・手順を対応させて説明できる状態にすることが重要です。まず「深部線量・線量分布指標」と「出力計算・MU・照射野係数」を優先し、年度別一覧と選択肢のひっかけを使って周辺知識を広げてください。
注意:8年分では標準計測法12を前提とする設問が中心です。現在の運用では標準計測法24、IAEA TRS-398 Rev.1、AAPM更新資料との版差を確認してください。 外部基準の確認日は2026-09-16です。本記事は問題文・選択肢を転載せず、出題領域を独自に分類・要約しています。頻度は本記事の分類基準によるもので、出題予想ではありません。