RADIOLOGY GLOSSARY
TGC(Time Gain Compensation)
IN ONE LINE
一言でいうと
超音波エコーの到着時間に応じて受信増幅を変え、深部からの信号が伝搬中の減衰で弱くなることを補償する機能です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
深い場所からのエコーほど長い距離を進んで弱くなるため、深さに合わせて明るさを調整します。送信出力を上げる機能とは別です。
身近なイメージ
均一なファントムを撮影し、深い部分だけが不自然に暗い場合にTGCの傾きを調整します。後方エコー増強などの診断所見まで均一化しないよう注意します。
そもそもTGCとは?
到着時間は往復伝搬距離と対応するため、深さごとの受信利得を調整できます。
全体ゲインは全領域へ、TGCは深さ帯ごとへ作用する点を区別します。
定義・しくみ
受信したエコーの時間軸に沿って増幅率を変える処理です。一定音速cを仮定すると深さz=ct/2となり、時間依存の利得を深さ依存の補償として使えます。減衰そのものを減らしたり失われた信号を復元したりするわけではありません。
CORE FORMULA
基本公式
z=
FORMULA NOTES
公式の補足
深さは往復なので2で割ります。
TGCは受信処理であり、音響出力の増加量を示す式ではありません。
具体例で確認
教材用にc=1,540 m/s、エコー到着時間100 μsとします。
z=1,540×100×=0.077 m=77 mm
約77 mmの深さに対応する受信利得が使われます。音速が異なる媒質では位置の対応も変わります。
専門的にもう一歩
均一媒質の指数減衰を補うため、受信利得もおおむね深さとともに増加させます。ただし臓器ごとの減衰、音響陰影、後方エコー増強は一様ではなく、一本のTGC曲線ですべてを正せません。増幅は雑音も大きくし、信号が雑音以下になった領域を診断可能な情報へ戻すものではありません。
臨床・測定での確認点
- 全体ゲインと深さ帯の補償を別々に調整します。
- 比較画像ではTGC設定を揃えます。
- 深部を明るくするだけでSNRが改善したと判断しません。
覚えるポイント
- 時間・深さ依存の受信利得
- 減衰の補償
- 全体ゲイン・送信出力との違い
間違えやすい点
- TGCを送信出力の調整としない
- 雑音まで増幅する点を忘れない
- 後方所見をすべて装置補償の不足としない