RADIOLOGY GLOSSARY
水の放射線分解(Radiolysis of Water)
IN ONE LINE
一言でいうと
電離放射線が水へエネルギーを与え、電離・励起を経てラジカルや水和電子などの反応性物質を生成する過程です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
放射線が水に作用すると、反応しやすい粒子が生まれます。それらがDNAなどへ作用することで間接的な損傷が起こり得ます。
身近なイメージ
水から生じたヒドロキシルラジカルが近くの生体分子へ反応し、分子に損傷を与える場合があります。すべての生成物が必ずDNAへ到達するわけではありません。
そもそも水の放射線分解とは?
水の電離と励起を出発点に複数の反応が進みます。
生成物と反応は酸素、pH、線質、溶質などによって変わります。
定義・しくみ
水が電離放射線のエネルギーを吸収して化学変化を生じることです。初期の電離・励起からヒドロキシルラジカル、Hラジカル、水和電子などが生じ、さらに反応や再結合が進みます。生成した反応性種による生体分子の損傷は放射線の間接作用へつながります。
CORE FORMULA
基本公式
H2O → H2O⁺ + e⁻(電離の模式式;供給エネルギーを省略)
FORMULA NOTES
公式の補足
模式反応式は反応ネットワークの一部です。
eVかを区別します。
具体例で確認
水の電離でH2O⁺と電子が生じた後、H2O⁺が周囲の水と反応する教材用の一経路です。
H2O⁺ + H2O → H3O⁺ + •OH
ヒドロキシルラジカルが生成されます。これは水の放射線分解全体を表す唯一の反応式ではありません。
専門的にもう一歩
初期電子は減速・溶媒和し、水和電子として還元反応へ関与します。ラジカルは溶質との反応だけでなく、互いの再結合などでも消費されます。生体中では水以外の多数の分子が反応へ関与するため、純水の生成収率をそのまま細胞損傷へ換算しません。高LETと低LETでは微小なエネルギー沈着の密度が異なり、反応性種の分布と再結合も変わります。
臨床・測定での確認点
- 溶存酸素とpHなどの条件を明示します。
- ラジカル測定では反応・検出の時間尺度を確認します。
- 純水の実験値を患者組織へ直接適用しません。
覚えるポイント
- 水の電離・励起
- •OH・H•・水和電子
- 間接作用との関係
間違えやすい点
- 水の分解を単に酸素と水素が出る反応としない
- すべてのラジカルがDNAを損傷するとしない
- 純水の収率を細胞死率としない