RADIOLOGY GLOSSARY
オージェ電子(Auger Electron)
IN ONE LINE
一言でいうと
電子殻の空孔を外側の電子が埋めるとき、その遷移エネルギーを受け取って原子外へ放出される別の電子です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
内側の電子の穴を埋めたエネルギーが光子にならず、別の電子を外へ押し出す形で放出されます。
身近なイメージ
電子捕獲や光電効果で内殻空孔ができると、原子の緩和により特性X線またはオージェ電子が放出され得ます。
そもそもオージェ電子とは?
原子の電子殻の緩和過程で生じ、特性X線の放出と競合します。
放出後も電子殻に空孔が残るため、さらに遷移が続くことがあります。
定義・しくみ
内殻空孔への電子遷移が非放射的に進み、そのエネルギーが他の束縛電子へ渡って放出される電子です。初めに光子を吸収して飛び出した光電子や、核励起エネルギーを受け取る内部転換電子とは発生機構が異なります。
CORE FORMULA
基本公式
KAuger ≈ Bi − Bj − Bk(正の束縛エネルギーを使う簡略式)
FORMULA NOTES
公式の補足
Bは電子を取り除くための正のエネルギーです。
簡略式は実原子の多電子効果を完全には含みません。
具体例で確認
簡略化した原子モデルで、内殻空孔の束縛エネルギーを10 keV、穴を埋める殻を2 keV、放出電子の殻を1 keVとします。
KAuger ≈ 10 − 2 − 1 = 7 keV
運動エネルギーは概算7 keVです。実原子では空孔状態によるエネルギー補正があります。
専門的にもう一歩
電子殻の空孔は、光電吸収、電子捕獲、内部転換など複数の機構で生じます。オージェ電子のエネルギーは電子殻の差に由来し、入射光子エネルギーそのものでは決まりません。低エネルギーの電子では短い範囲へのエネルギー付与が重要となり、核種の微視的な局在も生物作用へ影響します。
臨床・測定での確認点
- オージェ電子と同時または連続して生じる他の放射線も確認します。
- 局所的な線量は核種がどこに存在するかで変わります。
- 束縛エネルギーの符号の定義を揃えて計算します。
覚えるポイント
- 電子殻の非放射的緩和
- 特性X線放出と競合
- 光電子・内部転換電子と機構が違う
間違えやすい点
- オージェ電子を光子としない
- 原子核から直接飛び出す電子としない
- 入射エネルギーをそのまま運動エネルギーとしない