RADIOLOGY GLOSSARY
弾性散乱(Elastic Scattering)
IN ONE LINE
一言でいうと
相互作用する粒子系の内部状態が変化せず、散乱前後で系全体の運動エネルギーが保存される散乱です。入射粒子単独のエネルギー保存ではありません。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
衝突相手を励起せずに、運動の向きや分担が変わる散乱です。軽い相手へぶつかると、入射粒子のエネルギーは減り得ます。
身近なイメージ
中性子と水素核の弾性衝突は減速に重要です。反跳陽子が運動エネルギーを受け取り、物質を電離します。
そもそも弾性散乱とは?
入射粒子と標的の両方の運動を含めます。
中性子の弾性散乱では、反跳核へエネルギーが渡ります。
定義・しくみ
反応前後に粒子の種類と内部状態が保たれ、系全体の運動エネルギーが保存される散乱過程です。運動量も保存されます。標的が反跳するため入射粒子の運動エネルギーは変わり得て、光子のレイリー散乱で使うエネルギー変化を無視する近似とは分けて考えます。
CORE FORMULA
基本公式
K入射+K標的=K散乱+K反跳(内部状態が不変)
FORMULA NOTES
公式の補足
Aは上の模型では標的と入射粒子の質量比です。
最大移行割合は非相対論的二体衝突の条件付き式です。
具体例で確認
教材用の非相対論的な正面衝突で、ほぼ等質量の中性子と静止陽子を考えます。
²;A≈1なら約1
理想条件では中性子はほぼ全運動エネルギーを渡せます。すべての散乱角でそうなるわけではありません。
専門的にもう一歩
静止標的との衝突では粒子の質量比と散乱角がエネルギー配分を決めます。重い標的へは一回で渡せる割合が小さくなり、中性子減速材の選択へ関係します。原子や核の励起を伴う非弾性散乱とは別です。『弾性』を入射粒子のエネルギーが不変という定義にすると、反跳のある中性子散乱を誤解します。
臨床・測定での確認点
- 反跳を無視する近似の可否を確認します。
- 中性子エネルギーと標的核を明示します。
- 散乱による方向変化と遮蔽後の線量を評価します。
覚えるポイント
- 系の運動エネルギー保存
- 反跳核への移行
- 非弾性散乱との区別
間違えやすい点
- 入射粒子だけのエネルギー不変としない
- 中性子自体が電荷を持つとしない
- レイリーの近似を全粒子へ適用しない