RADIOLOGY GLOSSARY
非弾性散乱(Inelastic Scattering)
IN ONE LINE
一言でいうと
散乱に伴って標的の励起など内部エネルギーが変化し、運動エネルギーの一部が内部状態の変化へ移る過程です。全エネルギーは保存されます。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
粒子がぶつかって相手を高い状態にし、その分だけ運動のエネルギーが減る散乱です。エネルギーが消えるわけではありません。
身近なイメージ
中性子が核を励起し、核が低い状態へ戻る際にγ線を出す場合、遮蔽後には中性子だけでなく二次光子も考える必要があります。
そもそも非弾性散乱とは?
核の非弾性散乱では励起核がγ線等を放出し得ます。
粒子種と標的によって条件が違い、散乱一般の一つの分類です。
定義・しくみ
相互作用後に標的などの内部状態が変化する散乱です。核を励起する中性子非弾性散乱では、入射運動エネルギーが励起エネルギーと散乱粒子・反跳核の運動へ配分されます。運動エネルギーの減少を、全エネルギー保存則の破れと解釈しません。
CORE FORMULA
基本公式
K入射=K散乱+K反跳+E励起(静止標的・吸収する励起)
FORMULA NOTES
公式の補足
省略した内部・反跳エネルギーがないか確認します。
上の数値配分は教材用で、実核の遷移データではありません。
具体例で確認
教材用の運動量も満たす衝突後のエネルギー配分として、入射3 MeV、励起1 MeV、反跳0.2 MeVを仮定します。
散乱粒子のK=3−1−0.2=1.8 MeV
運動エネルギーの一部が内部励起へ移っています。この値だけで実核の反応しきい値は決められません。
専門的にもう一歩
核励起には遷移エネルギーに加えて運動量保存による反跳の条件があるため、反応しきい値を励起エネルギーだけとしません。電子の原子励起・電離による非弾性衝突もエネルギー損失へ寄与します。原子の結合を無視したコンプトン近似と、束縛原子の内部状態まで含める分類とは文脈を区別します。
臨床・測定での確認点
- 核種と入射エネルギーを指定します。
- 二次γ線等も測定・遮蔽へ含めます。
- 吸収・核変換・散乱の反応チャンネルを分けます。
覚えるポイント
- 内部状態の変化
- 全エネルギー保存
- 二次放射線としきい値
間違えやすい点
- エネルギーが消失するとしない
- 非弾性散乱を常に核種変換としない
- 励起エネルギーだけでしきい値を断定しない