RADIOLOGY GLOSSARY
レイリー散乱(Rayleigh Scattering)
IN ONE LINE
一言でいうと
光子が原子の束縛電子全体の作用により、ほぼエネルギーを失わずに方向を変える干渉性の弾性散乱です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
光子の進む向きは変わりますが、エネルギーはほとんど変わりません。電子を弾き出すコンプトン散乱とは違います。
身近なイメージ
低エネルギーX線ではレイリー散乱も散乱線の一部になります。検出器へ到達した散乱光子は、画像のコントラストを低下させることがあります。
そもそもレイリー散乱とは?
散乱に寄与する電子の波が干渉するため、干渉性散乱と呼ばれます。
一次ビームから光子を外すので減弱には寄与しますが、直接のエネルギー転移はほぼありません。
定義・しくみ
束縛電子が集団として光子を散乱する弾性過程です。原子へ運動量は渡りますが、診断領域では光子のエネルギー変化をほぼ無視できます。コンプトン散乱のような反跳電子による大きなエネルギー転移は生じません。
CORE FORMULA
基本公式
Eγ′ ≈ Eγ(弾性散乱近似)
FORMULA NOTES
公式の補足
エネルギー不変は原子反跳を無視する近似です。
散乱角の確率は、このエネルギー式だけでは求められません。
具体例で確認
30 keVの光子がレイリー散乱し、原子反跳によるエネルギー差を無視します。
Eγ′ ≈ Eγ ≈ 30 keV
方向が変わっても散乱後の光子は約30 keVです。一次光子数の減少と吸収エネルギーは別に考えます。
専門的にもう一歩
角度分布は原子の形状因子と光子エネルギーに依存し、一般に前方散乱が重要です。減弱係数には含まれますが、エネルギー転移係数には直接の寄与がほぼありません。ただし、その散乱光子が後で吸収されれば線量に関係するため、『散乱後も線量へ全く無関係』とはいえません。
臨床・測定での確認点
- 散乱光子の検出は画像形成の方向情報を乱します。
- 散乱後の二次的な吸収まで含めた線量を別に評価します。
- 減弱係数とエネルギー吸収係数を使い分けます。
覚えるポイント
- 干渉性の弾性散乱
- 光子エネルギーはほぼ不変
- 減弱への寄与とエネルギー転移を区別
間違えやすい点
- コンプトン電子が生じるとしない
- 方向も変わらないとしない
- 減弱しない現象としない