RADIOLOGY GLOSSARY

スイスチーズモデルSwiss Cheese Model of Accident Causation

IN ONE LINE

一言でいうと

複数の防御層に穴があり、それが重なると事故が起こるという医療安全の考え方です。

BEGINNER GUIDE

はじめて学ぶ方へ

一つのミスだけでなく、いくつもの確認漏れが重なった時に事故になります。

身近なイメージ

何枚もの穴あき板を重ね、穴が一直線に並ぶと向こうまで通ってしまうイメージです。

VISUAL GUIDE

図・グラフで確認

手順、照合、装置、監督という複数の防護層の穴が重なるスイスチーズモデル
一つの防護策は完全ではありません。複数層の弱点が同時に重なったとき、危険が患者まで到達します。

そもそもスイスチーズモデルとは?

スイスチーズモデルは、事故を一人の不注意だけで説明せず、複数の防護層にある弱点が一時的に一直線へ並んだときに事故が成立すると考えるモデルです。各層は事故を止めますが、完全ではないため穴があるチーズにたとえられます。

穴には、現場で起きた操作エラーのようなactive failureと、人員配置、設計、教育、組織文化など背景に潜むlatent conditionがあります。再発防止では最後にミスをした人だけでなく、複数層を改善します。

定義・しくみ

危険源と患者の間に、手順、機器、照合、教育、監督など複数の防護層が存在し、それぞれの弱点が偶然連結したとき有害事象へ至ると説明するシステム安全モデルです。一つの対策を完全とみなさず、防護の独立性と多重性を重視します。

具体例で確認

誤患者の治療計画が選択され、画面表示が似ており、タイムアウトも省略され、照射直前の画像照合も形式的だった事例を考えます。

計画選択だけを個人の責任にせず、識別画面、患者確認、権限、タイムアウト、画像照合という複数の穴が重なった経路を分析します。

専門的にもう一歩

事故分析では個人のエラーだけでなく、環境、手順、教育、装置、組織文化などの潜在的要因を見ます。

臨床・測定での確認点

  • 同じ情報源を二人が見るだけの確認は、共通の誤情報を見逃すため独立性が低い場合があります。
  • 防護層を増やすだけでなく、役割と検出対象が重複しすぎないよう設計します。
  • latent conditionは事故が起こるまで見えにくいため、near missや監査から先に見つけます。
  • モデルは原因を図示する枠組みであり、具体的な再発防止策は工程分析と検証を通じて決めます。

覚えるポイント

  • 多重防御
  • 潜在的エラー
  • システム改善

間違えやすい点

  • 個人の不注意だけで説明しない
  • チェックを増やすだけで解決としない
  • 防御層それぞれの弱点を見る