RADIOLOGY GLOSSARY
ビルドアップ領域(Dose Build-up Region)
IN ONE LINE
一言でいうと
高エネルギーX線などで、表面から最大線量深まで線量が増加していく領域です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
体表ですぐ最大線量になるのではなく、少し深いところで線量が高くなる部分です。
身近なイメージ
雪玉を転がすと少しずつ大きくなるように、二次電子の寄与が深さとともに増えるイメージです。
VISUAL GUIDE
図・グラフで確認
そもそもビルドアップ領域とは?
ビルドアップ領域は、高エネルギーX線を体へ入射したとき、表面から最大線量深dmaxまで吸収線量が増えていく範囲です。入射光子は物質中で二次電子を作り、その電子が進みながらエネルギーを与えるため、線量の最大位置は表面より深くなります。
この性質によって皮膚表面の線量が深部より相対的に低くなり、皮膚温存効果が生まれます。ただし表面線量はゼロではなく、装置ヘッドや空気からの混入電子、患者からの後方散乱、固定具などで増えることがあります。
定義・しくみ
入射面から最大線量深dmaxまで、二次電子の生成量と流入量が増加し、吸収線量が深さとともに上昇する領域です。表面付近では外側から流入する電子が少なく電子平衡が成立していません。深くなるにつれて上流側で発生した電子の寄与が増え、生成と損失の関係がつり合う付近で線量が最大になります。
具体例で確認
6 MV X線を水ファントムへ照射すると、表面からしばらくは線量が増え、約1.5 cm付近で最大になる代表的な分布を示します。
表面を100%とするのではなく、最大線量深を基準に深部線量を考えます。実際のdmaxは装置、線質、照射野、測定条件で変わるため、代表値だけで断定しません。
専門的にもう一歩
高エネルギー光子では二次電子の生成と飛程が重要になり、表面線量が相対的に低く、深部で最大線量となります。皮膚温存効果、PDD、電子平衡と結びつけて整理します。
臨床・測定での確認点
- 光子エネルギーが高いほど二次電子の飛程が長くなり、一般に最大線量深は深くなります。
- ボーラスを皮膚へ密着させるとビルドアップがボーラス内で進み、皮膚・表在病変の線量を増やせます。
- 斜入射、固定具、治療台、マスク、空気層は表面線量とビルドアップを変化させます。
- 急峻な線量勾配があるため、体積の大きい電離箱では測定値が平均化されやすい点に注意します。
覚えるポイント
- 最大線量深との関係
- 皮膚温存効果
- 電子平衡が成立するまでの過程
間違えやすい点
- 表面線量が最大と考えない
- 電子線の深部線量分布と混同しない
- 線質で深さが変わる点を忘れない