RADIOLOGY GLOSSARY
電子平衡(荷電粒子平衡)
IN ONE LINE
一言でいうと
ある体積に入ってくる荷電粒子のエネルギーと、出ていく荷電粒子のエネルギーがつり合っている状態です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
光子が体に入ると二次電子が線量を作ります。その電子の出入りが釣り合うと、吸収線量を安定して考えやすくなります。
身近なイメージ
水槽に入る水と出る水が同じなら水位が安定する、というイメージです。
VISUAL GUIDE
図・グラフで確認
そもそも電子平衡とは?
電子平衡とは、注目する小さな体積へ入ってくる二次電子のエネルギーと、その体積から出ていく二次電子のエネルギーがつり合った状態です。高エネルギーX線の吸収線量は、光子が直接置くエネルギーよりも、光子との相互作用で生じた電子が周囲へ与えるエネルギーによって決まります。
体表付近では外側から入ってくる電子が不足するため平衡が成立しにくく、深さとともに電子フルエンスが増えて線量が上昇します。最大線量深付近より深部では、光子の減弱があるため厳密な平衡ではなく、実際には過渡的な電子平衡として扱うことがあります。
定義・しくみ
ある体積要素について、荷電粒子が運び込むエネルギーと運び出すエネルギーが等しい状態を荷電粒子平衡といいます。制動放射による損失を分けて考え、電子平衡が成立する条件では、吸収線量Dを衝突カーマKcolで近似できます。したがって、カーマと吸収線量の大小関係を問う問題では、表面、ビルドアップ領域、平衡領域のどこかを先に確認します。
CORE FORMULA
基本公式
D ≈ Kcol
具体例で確認
高エネルギーX線を十分に大きな水ファントムへ照射し、最大線量深より少し深い小体積を考えます。
D ≈ Kcol(電子平衡が成立し、放射損失を分けて考える場合)
その体積へ入る電子と出る電子のエネルギーがほぼつり合えば、光子から電子へ移された衝突成分と局所の吸収線量を対応させられます。表面付近には同じ近似をそのまま適用できません。
専門的にもう一歩
高エネルギー光子線では、表面付近では二次電子が十分に戻ってこないため電子平衡が成立しにくく、深さとともにビルドアップが起こります。カーマと吸収線量の関係、ビルドアップ領域、照射野サイズとの関係が国家試験で問われやすいです。
臨床・測定での確認点
- 照射野が二次電子の飛程に比べて小さいと側方電子平衡が崩れ、小照射野線量測定の難しさにつながります。
- 物質境界や空洞の近くでは電子の流れが変化するため、均質な水中と同じ平衡条件を仮定できません。
- ビルドアップ領域では深さごとに電子フルエンスが変わるため、検出器の大きさや実効中心の影響が大きくなります。
- 国家試験では『光子平衡』ではなく、線量を付与する二次電子などの荷電粒子に注目します。
覚えるポイント
- ビルドアップ領域では成立しにくい
- 光子ではなく二次電子などの荷電粒子に注目する
- カーマと吸収線量の関係で問われる
間違えやすい点
- 表面で常に成立すると考えない
- 光子数だけで判断しない
- 高エネルギーほど二次電子飛程が長い点を忘れない