RADIOLOGY GLOSSARY
ケミカルシフトアーチファクト(Chemical Shift Artifact)
IN ONE LINE
一言でいうと
水と脂肪の共鳴周波数差により、画像上で位置ずれや縁取りが生じるアーチファクトです。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
水と脂肪が少し違う周波数で信号を出すため、境界がずれて見える現象です。
身近なイメージ
同じ場所にあるはずの線が、色ごとに少しずれて印刷されるようなイメージです。
そもそもケミカルシフトアーチファクトとは?
ケミカルシフトアーチファクトは、脂肪中と水中の水素原子核で共鳴周波数が約3.5 ppm異なることから生じるMRIアーチファクトです。位置情報へ周波数を使う方向で、脂肪と水の像がずれて境界に明暗帯を作ります。
もう一つ、同じボクセル内の脂肪と水が逆位相になって信号を打ち消す第2種の化学シフトがあります。前者は主に周波数エンコード方向の位置ずれ、後者はGREのTE選択による境界の黒線として区別します。
定義・しくみ
化学結合環境による遮蔽効果で脂肪プロトンの共鳴周波数が水より低くなるため、周波数エンコード勾配がその差を位置差として誤って割り当てる現象です。画素ずれは周波数差を1画素当たり受信帯域幅で除した値に関係し、磁場強度が高いほどHz単位の差は大きくなります。
具体例で確認
1.5 Tで脂肪と水の周波数差を約220 Hz、受信帯域幅を110 Hz/pixelとします。
位置ずれ ≈ = 2 pixels
脂肪像は周波数エンコード方向へ約2画素ずれます。受信帯域幅を広げると位置ずれは減りますが、SNR低下とのトレードオフがあります。
専門的にもう一歩
周波数エンコード方向の位置ずれ、第2種ケミカルシフトによるin-phase/out-of-phaseの信号変化が問われます。受信帯域幅や磁場強度が影響します。
臨床・測定での確認点
- 第1種は基本的に周波数エンコード方向へ現れ、方向を入れ替えるとアーチファクト方向も変わります。
- 受信バンド幅を広げる、脂肪抑制を使う、磁場強度を下げると位置ずれを抑えられます。
- 第2種は脂肪と水が同一ボクセルにある境界で、out-of-phase時に信号相殺として現れます。
- インドインクアーチファクトは全周性の黒縁として見え、磁化率による信号欠損と区別します。
覚えるポイント
- 水と脂肪の周波数差
- 周波数エンコード方向
- 帯域幅で変化する
間違えやすい点
- 磁化率アーチファクトと混同しない
- 位相方向だけに出ると決めつけない
- 高磁場で影響が大きくなる点を忘れない