RADIOLOGY GLOSSARY
電子対生成(Electron–Positron Pair Production)
IN ONE LINE
一言でいうと
高エネルギー光子が原子核などの電場と相互作用し、消失して電子と陽電子の対へ変換される過程です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
十分に高いエネルギーの光子から、電子と陽電子が一つずつ生まれる現象です。作るための最低エネルギーがあります。
身近なイメージ
数MeV以上の治療用光子では電子対生成が起こり得ます。通常の診断X線の光子エネルギーは核電場でのしきい値に届きません。
そもそも電子対生成とは?
核の電場での対生成には約1.022 MeVのしきい値があります。
生成後の陽電子は物質中で減速し、電子との対消滅で光子を生むことがあります。
定義・しくみ
光子のエネルギーが電子・陽電子の静止エネルギーと運動エネルギーへ変わる相互作用です。核の反跳を小さいとする近似では、光子エネルギーから2mec²を引いた残りが二粒子の運動エネルギーになります。
CORE FORMULA
基本公式
Eγ ≈ 2mec² + K− + K+;しきい値 ≈ 1.022 MeV(核電場)
FORMULA NOTES
公式の補足
mec²≈0.511 MeVを二粒子分必要とします。
エネルギー式は核の反跳を無視した近似です。
具体例で確認
2.000 MeVの光子が核の電場で対生成し、核の反跳エネルギーを無視すると仮定します。
K− + K+ ≈ 2.000 − 1.022 = 0.978 MeV
二粒子の運動エネルギーの合計は約0.978 MeVです。各粒子に等分されるとは限りません。
専門的にもう一歩
光子は対生成で消失し、核は運動量保存に関与します。断面積は光子エネルギーと原子番号に依存します。軌道電子の電場で起こる三重生成では標的電子も反跳し、しきい値は約2.044 MeVです。核電場の場合と電子電場の場合のしきい値を一つの数字で扱いません。
臨床・測定での確認点
- しきい値は光子のエネルギーです。管電圧をそのまま光子エネルギーとみなしません。
- 陽電子の対消滅による光子も線量や検出スペクトルへ寄与します。
- 診断領域では光電効果や散乱が主な相互作用です。
覚えるポイント
- 核電場で約1.022 MeVがしきい値
- 電子と陽電子が生成する
- 光子は消失する
間違えやすい点
- 電子2個が生成するとしない
- 511 keVだけで対生成可能としない
- 対生成と対消滅を同じ向きの反応としない