RADIOLOGY GLOSSARY
TMR(組織最大線量比)
IN ONE LINE
一言でいうと
最大線量深の線量を基準に、同じ線源―測定点間距離で、ある深さの線量がどれくらい残っているかを表す比です。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
高エネルギーX線の線量は、表面ではなく少し深い最大線量深で最大になります。TMRは、その最大値を1(または100%)として、目的の深さの線量を比べるための指標です。
身近なイメージ
最大線量深の線量が100 cGy、深さ10 cmの線量が80 cGyなら、TMRは0.80です。つまり深さ10 cmでは、最大線量深の80%の線量になっています。
VISUAL GUIDE
図・グラフで確認
そもそもTMRとは?
TMRは Tissue-Maximum Ratio の略で、日本語では組織最大線量比と呼びます。高エネルギーX線を人体や水ファントムへ照射すると、二次電子によるビルドアップのため、線量は表面から増加して最大線量深 dmax で最大になります。そこから深くなるほど、光子の減弱や散乱条件の変化によって線量は低下します。
そこで、目的の深さ d の吸収線量を、同じ照射野条件における最大線量深 dmax の吸収線量で割ります。最大線量深を基準にするため、深さ方向の線量低下を一つの比として比較できます。
定義・しくみ
線源から測定点までの距離を一定に保ち、深さ d における吸収線量 D(d)を、最大線量深 dmax における吸収線量 D(dmax)で除した量です。通常は水ファントム中で測定し、分子と分母で線源―測定点間距離、照射野の定義、線質をそろえます。無次元量で、最大線量深では1になります。
CORE FORMULA
基本公式
TMR(d) =
FORMULA NOTES
公式の補足
TMR(dmax) = 1
TPR(d, dref) = :基準深drefをdmaxとすればTMRになる
具体例で確認
最大線量深で100 cGy、深さ10 cmで80 cGyを測定したとします。
TMR(10 cm) = = 0.80
深さ10 cmの線量は、最大線量深の線量の80%です。
専門的にもう一歩
TMRはSAD法(アイソセントリック法)の線量計算に適した深部量です。理想的な定義ではSSDに依存しませんが、深さ、光子線質、照射野サイズ、照射野をどの面で定義するかによって値が変わります。PDDはSSDを一定にして測定する百分率であり、距離の逆二乗効果を含む点がTMRと異なります。TPRは任意の基準深との比で、基準深をdmaxにした特別な場合がTMRです。
臨床・測定での確認点
- 分子と分母で線源―測定点間距離を一定にし、ファントム厚を変えて測定します。
- 深さが増すほど一般にTMRは小さくなり、光子線質が高いほど同じ深さのTMRは大きくなる傾向があります。
- 照射野が大きくなると散乱線の寄与が増えるため、同じ深さでもTMRは一般に大きくなります。
- MU計算では、処方線量をTMR、出力係数、ウェッジ係数などで除して必要MUを求める形で用いられます。
覚えるポイント
- TMRは線源―測定点間距離を一定にして測定する
- 分母は最大線量深dmaxの吸収線量で、TMR(dmax)は1になる
- PDDはSSD一定、TMRは測定点までの距離一定という測定条件の違い
- 深さ・線質・照射野サイズによるTMRの増減
- SAD法のMU計算で、出力係数や補助具係数と組み合わせて用いる
間違えやすい点
- PDDと同じくSSDを一定にする指標だと考えない
- 分母を表面線量や10 cm深線量にしない。分母は最大線量深の線量である
- TMRを百分率だけで表すとは限らない。0.80と80%は同じ比を表す
- TPR20,10は20 cm深と10 cm深の比であり、TMRとは基準深が異なる
- 照射野サイズや線質が変わっても一定だと考えない