RADIOLOGY GLOSSARY
W値(W値(平均イオン対生成エネルギー))
IN ONE LINE
一言でいうと
気体中で1組のイオン対を作るために必要な平均エネルギーです。
BEGINNER GUIDE
はじめて学ぶ方へ
放射線が気体に与えたエネルギーから、どれくらいの電離が起きるかを結びつける値です。
身近なイメージ
1個の部品を作るのに平均いくら材料が必要か、という考え方に近いです。
そもそもW値とは?
W値は、気体中で1組のイオン対を作るために平均して費やされるエネルギーです。電離に直接使われた分だけでなく、励起などに費やされた分も含みます。ここで扱う空気の標準W値では、制動放射線へ移るエネルギーと、その制動放射線による電離を除外します。
電離箱では収集した電荷からイオン対数が分かるため、W値を使って気体へ付与されたエネルギーと結び付けられます。空気のW/eは放射線量標準や空洞理論で重要な定数です。
定義・しくみ
電離・励起などに費やされたエネルギーEを、生成したイオン対数Nで除した平均量で、W=E/Nと表します。空気の線量計測で用いる代表値は約33.97 eV/ion pairです。この定義では制動放射線の生成に失われた運動エネルギーと、その光子が生むイオン対は算入しません。第一イオン化エネルギーとは異なり、気体組成や粒子種、エネルギー領域にも注意が必要です。
具体例で確認
空気中の電離・励起などに3.397×10^4 eVが費やされ、制動放射線の寄与を除いたW値を33.97 eV/ion pairとします。
N = 3.397× = 1.00×10^3 ion pairs
平均1000組のイオン対が作られます。W値を気体の第一イオン化エネルギーと同一視すると、励起などへ使われるエネルギーを見落とします。
専門的にもう一歩
空気のW値は電離箱による線量測定に関係します。電離だけでなく励起などへ費やした分も含む平均値であり、空気の標準W値では制動放射線の生成に失われた運動エネルギーと、その光子による電離を除外します。
臨床・測定での確認点
- W値は第一イオン化エネルギーとは異なり、励起など電離以外へ費やされるエネルギーも含む平均値です。放射損失まで無条件に足す『全損失』とは説明しません。
- 電離箱で測るのは電荷であり、W/eを介して気体へ付与されたエネルギーへ換算します。
- 気体の種類が変わればW値も変わるため、空気の値を他の充填ガスへそのまま適用しません。
- 国家試験では単位eV/ion pair、平均値であること、イオン化エネルギーとの差が狙われます。
覚えるポイント
- 電離箱の線量測定と関係する
- イオン対生成に必要な平均エネルギー
- 単位はeV/ion pairなど
間違えやすい点
- 電離エネルギーそのものと混同しない
- 励起に使われるエネルギーも影響する
- 物質により値が異なる